「夢物語解析」
'02.5.5(1)'02.5.5(2)'02.6.5'02.8.25'02.12.2'03.9.20'03.11.7'03.12.27'04.1.16


       20030920

「うぁ.シューマッハ−負けてる」
 朝,新聞を読んでいた父が思わず漏らした.その記事を盗み見するに,モントーヤが今度のレース優勝したと書かれてあった.
 シューマッハ−,モントーヤ,ライコネンと言えば,今年のF1界のチャンピオン候補だ.と,テレビでやっていた.今回のレースで,モントーヤがシューマッハ−に迫った事になる.
 朝飯を食べ終えた頃,そのレースがテレビに流れた.夏の休みの午前中から,僕らは結果を知っている録画レースを何の気無しに見ていた.
 番組では,アナウンサーが各選手のプロフィール,今季の成績等を解説者と掛け合いも交えながら順当に紹介していた.
 画面は氷上を映していた.凍った湖か,いや海だろうか.画面の所々に巨大な氷山が点在している.分厚い氷の上には,カメラを動かす大きな機材や,防寒着を着込んだ大会関係者が待機している.此岸には,厚着したギャラリーがひしめき合っている.
 南半球だろうか.いやそれより自動車レース,F1じゃないのか?
 一面氷ばかりの世界で,番組は当然の様に進行する.
 選手がコールされ,マシンを駆って一人ずつ登場する.しかしそのマシン,F1カーではなかった.四輪でもなかった.まるでヤン車のような大型二輪.それにバギーやトラクターに付いてるような,転倒した際ドライバーを車の下敷きから守るためのフレームが同様に実装されている.
 重そうなバイクは,登場し,コーナーで滑って次々と沖の方へ行ってしまう.
 そんな中,注目のシューマッハ−がコールされた.
「さあ,来ましたシューマッハー.しかし今回のレース,シューマッハ−,何か勘違いしていた模様.優勝はなりませんでした」
 アナウンサーはレース前から結果を公表した.シューマッハ−のマシンは,ハーレーだった.しかしだからといって他のヤン車と大した差はない,テストにも合格していた.だがアナウンサーの言ったように,彼のハーレーはだめだった.
 例のコーナーに差し掛かったとき,まるで氷上で馬が滑って腹を打つような,マンガのようなことがハーレーに起こった.前輪と後輪がそれぞれ前後に滑って,ハーレーは潰れてしまった.シューマッハーは不戦敗だ.
 あさっての方向に滑っていった選手達が,ようやくスタートラインに着き,いよいよレースが始まる.
 テレビにはコースの全容が映し出され,解説された.氷山の間を縫うようなコースだ.
 マシン以外は全てF1と同様の機器が使われていた.
 赤,赤,赤,青!
 各車一斉にホイールスピンさせ発進.氷上なのに,一丸となってあり得ないスピードでコーナーに突っ込む.いや氷上だから,である.ブレーキがほとんど効いていない.今時代,普通車にも氷上でグリップして止まれるタイヤはいてるというのに,彼のマシン等は何の対策も施してないようだ.
 選手入場時のデジャヴュのように,マシンが一斉に流れていく.そして次々と氷山に激突していく.
 それでもレースは続いた.本レースは別の意味で大混戦.まともにコースを走っているマシンは一台もなかった.
 さて,氷山は水に浮いているモノである.また水は対流し,風は氷をよく押すものである.レース場では始終ギィギィと下手なノコギリ引きのような音が響いていた.一面に張った分厚い氷も,氷の巨塊をつなぎ止めておくには役立たなかった.
 あるところでは氷が割け,あるところでは隆起する.レース場では至る所で水面が顔をだした.
 突然の裂け目に,コントロール不能のマシン.水中に落ちる者は続出した.
 ある中年ドライバーが,マシンのフレームに引っかかって,水に引き込まれていった.救命胴衣のようなレーシングスーツが,頭だけを浮かせようとする.選手は鯉のように必死に口をパクパクさせながら沈んでいった.
 救急班は画面狭しと氷上を奔走する.
 ちょうどそこへ,洗い物を終えた母がやってきた.画面を見て「はっ!」と息を呑み戦慄する.
 ハワイアンブルーのかき氷の顔をした若い選手が「助けてくれ!死にたくない!死にたくない!」と氷の割れ目から叫ぶのである.日本人のようだ.
 カメラ変わってこちらでは,子供のような小さな体躯のレーサーが,ぐったりと動かなくなって水中から引き上げられている.ヘルメットを取ると,その顔はすでに蒼白,死んでいた.
「おお…ブライアン…」
 放送ブースから,悲痛な声が漏れる.
 カメラは氷の下に潜った.ドキュメンタリー番組のワンシーンの技法だった.薄明かり差す氷の天井の下には,無数のヘルメットが取り残されていた.
 番組の最後に,事故の被害状況が発表された.それによると選手は全員死亡,と.
 モントーヤが何故勝ったのかは分からずじまいだった.
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 なんて凄惨な夢だったんだ.マジでビビった.「やべっ!もしかして今日は水難の相が出てるのでは?」と真剣に水に注意しようと決めてた.
 実はこの前にも水に関する夢を見ていた.内陸の国の王の息子である自分が,幅2メートル程の用水を小さな丸太舟で,カイも棒も無しに下っていき,海の近く用水がT字になっている地点にタッチして,戻ってくるという話だ.航行距離は2,3キロである.
 客観的に見て,水の夢を続けて見た要因は,おそらく布団脇の窓を開けて寝たせいだろう.外は寝る前から小雨がぱらついていたし,朝方は特に冷え込んだ.睡眠中は,絶えず雨の音が耳に入っていただろう.
 F1は極たまにしか見ない.しかしシューマッハ−,モントーヤ,ライコネンくらいは知っている.寝る前に見たCMが印象的だったのかも.
 しかし何故マシンが二輪で,ヤン車だったのかは不明.