教父学とスコラ哲学
 教父学(スコラ哲学の前身)の中心問題は信仰と理性とが対立するかどうか、神の存在と本質についてであった。
アウグスティヌス(北アフリカ、354〜430)
 教父学を代表する神学者。懐疑主義に対して「ある人がどんなことに疑おうと、疑いそのものを疑うことはできない」と反論。
 真理は人間の精神の内にあり、その根源は神である。「真理はすべての者の近くにあって、すべての者にとって永遠である。それは外から促し、内から教えるのである」
 信仰の真理を理解するには、理性の努力が必要である。「信じるために理解し、理解するために信じなさい」

アンセルムス(カンタベリー1033〜1107)
 スコラ哲学の父。
トマス・アクィナス(1224〜1274)
 キリスト教思想+アリストテレスの合理主義思想。理性は神から与えられたもの。哲学は理性を持って真理を探求すること、神学は信仰をもって真理を知ること。
 神の存在を証明する5つの道。たとえば、「動いているものを考えるとそのもとには、誰からも動かされずただ他を動かす第一運動者がいるはずだ(運動よりする論証)」「人間はその悟性によって、自分の回りの自然物の中から高い普遍的なものを導き出すことができる(能動悟性)」。神学の問題について、理性で解き明かすことのできる部分を、哲学的に論証した。

ウィリアム・オッカム(1300〜1349)
ニコラウス・クザーヌス(1401〜1464)
 これらの人の時代のスコラ哲学の中心問題は「唯名論」と「実在論」であった。
「実在論」=私たちの精神が考える普遍的な概念(たとえば、丸や四角、スチール製といった個々の机ではなく、それらすべてを含む「机」という概念)が本当の実在で、私達の目が感覚的にとらえる個々のものは意味のないもの。
「唯名論」=私たちの感覚がとらえる個々のものこそ実在であって、普遍的な概念は単なる名前にすぎない。

ドゥンス・スコトゥス(1266〜1308)
 トマス・アクィナスと対立した。フランシスコ会。
ロジャー・ベーコン(1214〜1292)
 真理は経験によって発見される。イギリスの経験哲学の先駆者。