快楽主義とストア派

エピクロス(アテナイ、紀元前341〜270)
 「人は拷問台の上でも幸福でいることができる。」「快楽主義」=恐れや苦痛のもととなるものを避けることにより、心の平静さ(アタラクシア)を保つことが出来る。それは永続する静かな快楽。飲食は慎ましく摂り、情熱的な行動は避け、苦痛を恐れなくなるように自分を鍛錬すること。(生きているときは死はないのだし、死んでからは感覚がなくなるのだから、死を恐れることはない)

ゼノン(キプロス、前335〜263)
 ストア学派創始者。理性の力で自分の感情や欲望を抑え、運命に逆らわず、倫理的に生きることによって心の平静さ(アパティア=無感動と言ってもいいくらいのもの)を求めようとした。

セネカ(スペイン、前4〜65)
 人間のとめどもない欲望を諌めた格言=「もしあなたの持っているものが、あなたに不満だと思われるのなら、たとえ世界を所有してもあなたは不幸であろう」

エピクテトス(ギリシア、60〜100)
 情熱やわずらわしさから自由でいなければならない。私達は全体の中の一部に過ぎず、時間のように来て、時間のように去らなければならない。名声や賞賛、さげすみ、死、苦痛などに打ち勝つ人こそ不敗の競技者で、神と出会える人間である。ソクラテツ、プラトン、ディオゲネスから影響を受ける。

ディオゲネス(前400〜323)
 心の自由と自主を大切にする。贅沢は心の自由を奪うものとした。全人類だけでなく動物も同胞とした。

マルクス・アウレリウス・アントニヌス(ローマ、121〜180)
 人類愛を尊び、運命を甘受する静かなあきらめ。「最後に残るものとして、善き人の特質がある。すなわち、天から与えられて生起するものを愛し、喜んで受け、己の胸に住む神霊を汚さず、群れなす理念に惑わされず、柔和な者として神に慎んで従い、真実にそむくことなく、正義に基づいて己を保つことである」「この世から今すぐ去る者の如く、全てのことをなし、言い、そして考えよ」。(「自省録」)