古代ギリシア哲学

タレス(イオニア・ミレトス、紀元前624〜546頃)
 万物の原理は「水」。最初の哲学した人の一人。


アナクシマンドロス(ミレトス、前610〜546頃)
 万物の原理は「無限なもの(アペイロン)」。アペイロン=「不死なるもの、不滅なるもの、神的なるもので、すべてを包括し、すべてを整えるもの」。タレスに学ぶ。


ピタゴラス(前570〜490頃)
 万物の原理は「数」。数は存在するものに秩序を与え、宇宙に調和を与えるもの。輪廻説(人間の魂は肉体に入る前は神々の近くで暮らしていて、人が生まれるとその肉体に閉じ込められる。魂にとって肉体は牢獄のようなもの。そして人が死ぬと、魂は肉体を離れて再び神々のもとへ帰っていく。そこで次の新しい肉体に入るまでに、前の肉体にいたときに犯した罪をきよめる。)
「ソフォス(知者)であるのは神だけで、それはソフィア(知)を告げ知らせます。そしてフィロソフォス(愛知者)というのは、告げ知らされたソフィア(知)を愛し求める人」


クセノファネス(エレア、前570〜475頃)
 神は人間には全く似ていず、唯一万能で不滅不動。人間の認識の仕方、「神々ははじめからすべてのものを死すべきものども(人間)にお示しにならなかった。人間たちはむしろ探し求めなから、時と共により善いものを見出すのだ」。


パルメニデス(エレア、前515〜445頃)
 「あるものはあり、ないものはない」。あるもの(存在するもの)は、ずっと存在しているのだから、不生不滅で変化や運動をしない。これを知ることが出来るのは人間の理性。生成があると思うのは感覚が作り出すごまかし。クセノファネスの弟子。


ゼノン(前489〜?)
 弁証法(自分の主張に対立する主張の中の不当なところを指摘して、逆に自分の主張の正しさを証明する)の創始者。パルメニデスの考えを理論的に証明しようとした。


ヘラクレイトス(ペルシア・エフェソス、前540〜480頃)
 「万物は流転する」。「人は同じ川には2度入ることは出来ない」水は絶えず流れているから、同じ川だと思っても次の瞬間には前と違う水になっている。存在するものは不生不滅でなく、「生成」(何かが生まれ、成長して、変化してから滅び、再び生まれてくる、生成の循環)という運動をしている。この生成に規則を与え、統括するものが「ロゴス(理性)」。ロゴスは神的で誰にでも共通だが、多くの人々はこれに気づかず生きている。


エンペドクレス(イタリア・シチリア、前490〜430頃)
 世界を構成する4つの元素「土、火、水、空気」とし、これらが結合したり分離したりすることで世界の変化が起こる。この結合と分離を起こすものが「愛と憎」で、宇宙の完全な状態は、愛が憎に打ち勝ち、4つの元素が結合したとき。輪廻転生の思想。神秘主義のオルフェウス教やピタゴラス学派に影響を受ける。


アナクサゴラス(アテナイ、前500〜428頃)
 存在するものは、限りなく小さい無数の要素(種子)の混合と分離から構成される。種子ははじめ混在しているがやがて同じもの同士がくっついて一つの部分をつくる。この混合と分離を導くものをヌース(精神)とした。ヌースは無限で、何ものにも混合されず自分だけで存在し、完全な知識と力を持っている。彼から、自然は秩序と目的を持っていると考えられるようになった。


デモクリトス(トラキア・アブデラ、前460〜370頃)
 原子論=アトム(それ以上分割することができない。不生不滅)が世界を構成する。アトムが空虚な空間のなかで旋回運動して、互いにぶつかり合って結合分離が起こり、それによっていろいろな現象が起こる。これは全く機械的なもので、目的があるのではない。