「白雪」
吸い込まれるような藍色の夜空は、
遥か遠くに、小さく、
真っ白な雪の腕<かいな>が回り込み、
今にも食い潰そうと
している。
天頂は既に白く、
まっさらな雪の画布に
街の灯かりが色づけされる。
雪の光が
辺りを満たし―
粉雪の背後から
突然姿をあらわす細木、
凍ったように
雪を着飾る。
並木の小道を
傘の下から空を見上げて、
歩き行く。
舞い降りる雪にあたりながら
明るい夜に心踊らす
スゥっと息を吸う。
薄氷のような空気が、
喉に 貼り付く。