「サイエンス・サーガU」(10/10)
またやっちゃいました。
ちょっと半端な知識が入るとすぐノリで書いてしまう…
結構気に入っているのですが、こういうのはいかがなもんでしょうか。
0〜3部構成で順次更新していきます。
T U


 ―古代、中国を統一した秦の始皇帝(秦王・政)は「鼻が高く、切れ長の目で、鷹のように胸を張り、山犬のような声を出す。性格は冷酷で虎狼の心をもち、困ったときは人にへつらうが、優位にたつと恩を忘れる」と評された。

零、
 ここはヌバ民族の国ダ=カラティナ!資源立国のこの国を統治しているのはカロ家一族!首都ラカヌール中心部に荘厳な大宮殿を敷いて住まっている!
 百万平方メートルの敷地に聳えるロココ式の大建造物はダ=カラティナ隋一の歴史的巨大建築物である!
 通称ザンビアト宮殿と呼ばれるこの宮殿に住まうのはカロ一族57人!奉仕する従業員は約二千人!合わせておよそ二千人の大所帯である!この中には政治を司る大臣・官僚といった公人も含まれているが!その半数はカロ家の親族・親戚で占められている!
 その大所帯!もとい当王国の運命をその一手握る民族の長!ダ=カラティナの国王が!かの有名なグラディス傲慢王である!
 今日も王の下には沢山の人が拝謁に訪れてくる!種々の進言を聞き入れてもらうためである!
 昼近く!王の謁見の間に!見覚えのあるグラサン男が入ってきた。
「ん!!!わざわざ正面斬って入って来るとは何用だ!!!ポチョムキン!!!」
 流石!王様ともなるとエクスクラメション(!)は3つにもなる!格の違いを見せ付けられた思いで!ポチョムキンは緊張を隠せない!
「は!はい!私!ベンディアス王子より伝文を仰せつかっております!『正規のルートで進言申し上げ候!!』とお書き添えがございまして!このようにお目にかかる次第でございます!」
 ポチョムキンは懐から書簡を取り出した!
「ウム!!!申してみい!!!」
『父君!!グラディス王には益々御健勝の…』
 ポチョムキンはドラマのように手紙になぞってベンディアス王子の声を発した!
「ポチョムキン!!!声真似などしなくてよい!!!挨拶はいいから!!!本題を読め!!!」
 声を荒げたベンディアス王は!まるで不動明王の様である!
「は!はひ!『戦乱の世は今は昔!!平和となった国内は市井の笑顔で満ちています!!納税も怠ることを知りません!!これというのも三年前の父上の税制改革の賜物です!!愚民達は労働の喜びに熱吹く毎日です!!しかし!!我々にとってはいささか平穏が過ぎるように思われる今日この頃です!!そこで!!卑賤な輩たちの実りある充実した暮らしの為にも!!私は彼らに恩賞付きの難題を与えようと思うのです!!』」
「おおう!!!そうかそうか!!!ベディも現状の民衆を憂うようになったか!!!エクスクラメション(!)も2つになって!!!余はうれしいぞ!!!」
 グラディス王は感極まって大いに涙した!
「して!!!その難題と褒賞のメドは書いてあるのか!!!?ポチョムキン!!!」
「は!はい!『難題は三つでございます!!
一つ!!止まることなく動き続けるカラクリ(機械)を作れ!!いち早く献上した者には300ドラクマを与える!!
二つ!!異(い)なる物より金を生み出して見せよ!!いち早くその方法を申した者には!!生み出した金に相当する土地を与える!!
三つ!!不老不死の薬を作りし者には!!望みの物を一つ与える!!』とございます」
「おおう!!!まるで古代中国の政のような器量!!!余はうれしいぞ!!!ポチョムキン!!!すぐに取り掛かれ!!!」
「はは!!」
 王は采配を振るうと玉座を立ち!昼食を摂りに行った!
 ポチョムキンは王が見えなくなるまで頭を下げ通し!頃合を見て頭を上げて!退室した!

 翌日!お触れが国中にばら撒かれ!貴賎を問わず国内はその話題で持ちきりになった!識者は図書館やラボに籠り!凡夫は町中で騒ぎたった!
 しかし!一週間も経てば下級層よりその熱も冷めていき!一月後には御触れ書きの存在すらも忘れ去られる有様となっていた!
「はー!やってらんねーなー!」
 課題出題責任者に任命されたポチョムキンは!机に足を投げ出してあられもない姿を晒していた!この一月間!ポチョムキンは数々の実験を見てきたが!そのどれもが失敗に終わり!近頃はこの諮問室のドアも開かれなくなっていた!
「あのバカ親子にも困ったもんだよ全くー!」
 室長でもある彼は!同室の部下達の愛想混じりの苦笑いを舐めるように見回した!
 その時!突然ノックもなく諮問室のドアが開いた!
「ポチョムキン殿!また課題を成し遂げたという男が現れましたぞ!」
 入ってきたのは衛兵長のガディフール!白髪で口ひげをたくわえた老練な兵士である!
「な!何ですと!!」
 驚いたポチョムキンは!とっさに椅子から跳ね上がり!直立した!しかしこの反応は少し度が過ぎた!
 「課題を成し遂げた」という知らせは!ポチョムキンにとっては耳が腐るほど聞いた連絡である!しかもそのどれもが功を成さず!いい加減うんざりのはずなのだ!
 それはガディフールとて同じこと!
「!? 何か確信がおありで!?」
 訝しげにポチョムキンを見る老兵!
 部下達は下を向いて笑いを噛み締めていた!
「何でもありません!すぐ向いましょう!」
 持ち前のポーカーフェイスで!ポチョムキンは平然とガディフールを促し!退出した!